概要
delete文実行時に削除対象となったレコード(行)の内容を確認するSQL。 「returning」構文を使用する。
以下のような状況で役に立ちそう。
- 大量のレコードを持つテーブルにdelete文を実行した際、 意図したレコードが削除されたか確認が楽になる
- トランザクション管理のrollback機能と組み合わせれば SQLの開発時にテストやデバッグが捗る。
「returning」構文はSQLite の ver 3.35.0 から利用可能。
構文
delete from table_name
where
column_name = value ...
returning
column_name1
, column_name2 ....
;
実行例
環境
- Windows 10 64bit
- SQLite3 (3.35.5) Command-Line Shell
id | name | quantity |
---|---|---|
1 | tomato | 100 |
2 | potato | 120 |
3 | pumpkin | 50 |
「id=2」のレコードを削除し、削除された行を確認してみる。
sqlite> select * from product;
1|tomato|100
2|potato|120
3|pumpkin|50
sqlite> -- # 1.
sqlite> delete from product
...> where
...> id = 2
...> returning
...> id
...> , name
...> , quantity
...> ;
2|potato|120
sqlite> -- # 2.
sqlite> select * from product;
1|tomato|100
3|pumpkin|50
- returning構文を使うと削除対象になったレコードが表示される
- テーブルからは正しく削除されている
returningで取得するカラムに「*」を指定することもできる。
sqlite> delete from product
...> where
...> id = 2
...> returning
...> *
...> ;
2|potato|120
returningで取得する内容に別名をつけることもできる。
sqlite> .mode box
sqlite> .headers on
sqlite> delete from product
...> where
...> id = 2
...> returning
...> id as column1
...> , name as column2
...> , quantity as column3
...> ;
┌─────────┬─────────┬─────────┐
│ column1 │ column2 │ column3 │
├─────────┼─────────┼─────────┤
│ 2 │ potato │ 120 │
└─────────┴─────────┴─────────┘
SQLite 3 コマンドラインツールでselectの結果を見やすくする
SQLite 3 コマンドラインツールでカラム名を表示する「.headers」について
利用上の制限
SQLite 3.35.5 の時点で「returning」構文に以下のような制限がある。
これは将来のバージョンで改善される可能性がある。
- 仮想テーブルへのdelete文では使用できない。
- 素のdelete文でのみ使用可能。トリガー内のdelete文では使用出来ない。
- サブクエリでは使用出来ない。 例えば「delete~returning~」で取得したレコードをwhere句に使って 他のテーブルからデータをselectする、といったことは出来ない。
- returning文で取得したレコードをソートすることは出来ない。
- delete文を含むトリガーが設定されているテーブルに対し「delete~returning~」を実行しても、 トリガーが削除した分のレコードは取得出来ない。
- returningで取得したレコードには集計関数やwindow関数を使用できない。
参考サイト
-
SQLite 公式サイト(英語)
https://www.sqlite.org/index.html -
SQLite Query Language: DELETE(英語)
公式のDELETE構文に関するドキュメント
https://www.sqlite.org/lang_delete.html -
RETURNING
公式のRETURNINGに関するドキュメント
https://www.sqlite.org/lang_returning.html